科学的に危険な褒め方をしていませんか?

アドラー心理学が一時期大変流行りました。

その中でアドラーは「人を褒めても叱ってもいけない」と言っています。

しかし子どもを褒めることの有効性は実験で証明されてますし、これを読んでいる方も褒めることの大切さは普段から感じていると思います。

ただ褒め方も一歩間違えると効果がないどころか、悪影響を及ぼすものがあることがわかる実験をある本で見つけました。

2種類の褒め方

これは思春期初期の子ども達数百人を対象にした実験です。

まず子ども達全員に難易度高めの知能テスト10 題をやってもらいました。

だいたいの生徒が同じような成績で、終わった後に教師は褒め言葉をかけました。

褒めるに当たって生徒を下記の2つのグループに分け、別の褒め方をします。

  • グループ A 能力を褒める「8 問正解。よくできたわ。頭がすごく良いのね」
  • グループ B 努力を褒める「8 問正解。よくできたわ。よく頑張ったのね」


というようにAでは有能というレッテルを張るような褒め方、Bでは難問を解こうとした努力のみを褒めるようにしました。

成績はまったく変わらないようグループ分けしたのですが、ここから2つのグループは大きな差が生まれていきます。

現れた変化

まずAの子ども達に次の練習問題を選ばせると簡単な問題ばかり選ぶようになりました。

子ども達は、よい成績だった=頭が良いと褒められたので、ボロを出して能力を疑われることを避けるようになったのです。

逆に 9割のBの子ども達は積極的に色々な問題にチャレンジしていくようになりました。


次に AB両グループの子ども全員になかなか解けない難問を出します。


Aのグループは解けないことで、自分は頭が悪いと思うようになり、難しい問題を解くことにも嫌気を感じていました。

また簡単な問題の時は全員楽しいと答えていたが、難問のあとはAのグループは頭がよいと言われる評価が覆る危機と考え少しも楽しくないと答えるようになります。


逆にBのグループは解けないことは当たり前であり、できなければもっと頑張るしかないと考え、より積極的に問題に取り組みました。

そして子ども達は難問も簡単な問題もとても楽しい作業と感じていたようです。

最終的なAB両グループの結果は、このようになりました。

  • Aグループ成績ダウン自信ダウンやさしい問題に取り組んでも回復せず
  • Bグループ成績アップ(難問に積極的に挑戦したことでスキルアップ)

簡単にまとめると能力を褒めると成績が下がり、努力を褒めると成績が上がったということになります。

Aグループに現れたもう1つの特徴

この実験には続きがあり、さらに残念な結果が出ています。

テスト後、「これから他の学校に行くので、その生徒にどんな問題が出たのか教えてあげてください」と用紙を配布しました。

その用紙には、自分の点数を記入する欄も作ってありました。

用紙を集めてみると、恐ろしいことがわかります。

Aグループの生徒の4割が、自分の成績を高めに書いていたのです。

頭が良いと言われただけで、成績も下がり、間違えたことや悪い成績を隠し、嘘をつくようになってしまったのは、なかなか驚きの結果でした。

実際に意識してみて

僕は、この研究を知ったのが夏頃で衝撃を受け、褒める時に気をつけるようになったのですが結構効果があるように感じています。

練習の取り組み方や、注意の仕方を褒めることで生徒の練習することで褒めてもらえるし、練習することが大事なんだなという当たり前のことが前より伝わったのかなと思いました。

また「耳が良い」「才能がある」「なかなかいきなり普通は出来ない」と安直な褒め方は普段からしていないつもりだったのですが、改めて気をつけてみると結構言っていたのだなと感じます。

まとめ

  • 能力を褒めたら、成績が下がり積極性が失われた。
  • 努力を褒めたら、成績が上がり積極性が増した。
  • 能力を褒められると、自分を賢く見せようと愚かな行為に走りやすい。

という結果になりました。

今回の実験はこの本の中で見つけました。

とても良い本なので是非読んでみてください。

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感想(4件)

いつか本自体の紹介記事も書くかもしれません。

明日も内容決めていませんが、何か更新します。

バイオリン講演奏家長又 允希