冒頭から唐突ですが1つ質問させてください。
「あなたは音楽が好きですか?」
もしあまり好きではないという方は、これからお話する内容はあまり面白くないかも知れません。
ただ、音楽が好きという方には間違いなく楽しんでいただけると思います。
是非このまま読み進めてください。
大人のレッスンで伝えたい3つのこと
川越バイオリン教室では「あなたの人生をより豊かにする」を目標に日々レッスンをおこなっています。
なので大人のレッスンと子どものレッスンでは気をつけていることや大切にしていることが違います。
大人のレッスンで私が伝えたいことは、
- 音楽の真の楽しみ方
- バイオリンは弾きやすい!
- 音楽で人生が豊かに
ということです。
音楽の真の楽しみ方
結論から言います。
音楽は「聴くだけ」では楽しめません。
ただ商品としてのパッケージされた音楽を聴いただけで満足しているようでは、残念ながら音楽の魅力を少しもわかってないと言いざる得ません。
何故そのように私が言い切るのか。
私がこのように考えるきっかけとなった、ドイツの音楽学者ハイリッヒ・ベッセラーの1925年に発表した論文「音楽聴の根本的問題」を紹介します。
ベッセラーは音楽を「人との関わり」という観点から考えています。
なので彼は最近のクラシックコンサートのような「プロが提供する完璧を目指した演奏」を受け身で聞き、満足度を拍手で表現するだけの形を批判していました。
なんとなく音楽を聴きながら良い気分になるだけの聴き方ではダメだと言うことです。
では彼はどんな風に音楽を楽しむべきといったのでしょうか。
ベッセラーは音楽の楽しみ方を「聴く音楽」と「する音楽」にわけています。
「結局聴くだけのもあるじゃん!」と思った方がいるかも知れませんが、彼のいう「聴く音楽」はただ聴くだけとは違います。
ベッセラーは聴いて終わりではなく、音楽を聴いたあと人と感想を分かち合うことこそ音楽の真髄だと言っています。
つまりインプットだけでなく、音楽を聴いてからアウトプット、そしてそこでの自分の感想や人との交流にこそ音楽を心から楽しむのに必要なことだと言っています。
そして「する音楽」についてです。
昔は音楽を聴くことは簡単ではなかったためほとんどの人は「する音楽」を楽しんでいました。
わかりやすくするためにレコードなどがなかった時代のある夫婦の話を紹介します。
来月演奏会を夫婦で初めてオーケストラを観に行くことになりました。
曲はベートーヴェンの「運命」です。
しかし奥さんはどんな曲かわかりません。
幸い、この家にはピアノがあります。
そこで旦那さんが仕事の帰りオーケストラの楽譜を買って来てくれました。
奥さんは喜びます。
それから毎日演奏会まで楽譜を見ながらメロディっぽいところをたどたどしく弾いてみたりしていました。
ピアノ曲とは明らかに違う雰囲気や、メロディを毎日弾いているとますますベートーヴェンの「運命」がどんな曲なのか、奥さんの中で期待が膨らんできました。
(以下略)
つまり演奏を楽しむためだけでなく、音楽を簡単に聞くことができなかった時代は曲を知るために演奏することが当たり前の時代があったということです。
そして以下略にしてしまったある夫婦の奥さんの話を考えてください。
奥さんは毎日楽譜を見ながら曲の妄想をしていました。
その後実際に生のオーケストラを聴いた時どれだけ感動出来たか想像は難しくありません。
ベッセラーは家でどのような曲かを知るには演奏をするしかない時代があり、それこそが音楽を楽しむひとつの方法だったと言っています。
これ以上詳しく書くと長くなるので今度改めてベッセラーの書籍や論文を紹介したいと思います。
バイオリンは弾きやすい!
私はバイオリンは最強の楽器だと思います。
何故なら全ての楽器の中で1番身体への負担が少なく何歳まででも弾くことが出来るからです。
まずは論より証拠と言うことで生きる伝説「イヴリーギトリス」の演奏をご覧ください。
この演奏は2011年のもので89歳のときの演奏ですが、彼は2020年現在97歳で今も世界を飛び回り活動中です。
私が最後に生で聴いたのは確か2016年の東京の紀尾井ホールだったと思うのですが、この動画のように素晴らしい演奏でした。
「バイオリンを弾くことより、ステージの真ん中に歩くことの方が大変そうだなあ」と思ったことは今でも覚えています。
何故この年齢でも世界中を周り人々を感動させる事が出来るのか、そしてバイオリンが何故年齢関係なく演奏出来ると考えるのかをここから説明しましょう。
バイオリンが小さな子から高齢者まで弾くことが出来る1番の理由は、バイオリンを弾く上で「いかに脱力するかが大切」になるからです。
管楽器はしっかりした音を出す為に高い心肺機能が求められますし、ピアノの演奏にも指を支える筋肉など求められます。
しかしバイオリンは9割くらいの確率で最初指導することは「力を抜いてください」ですし、正しい弾き方で演奏出来れば、身体への負担が比較的少ない楽器だと私は思います。
この意見は自信はありますがあくまで個人の意見です。
賛否両論ありますし、身体を壊してるバイオリニストも確かにいます。
私の意見を賛同して貰えるよう何故バイオリンで身体を壊しまう人がいる理由を2つお話します。
2つの理由。それは、
①先生にならった弾き方が身体にあっていなかった
②トッププロで朝から晩までひたすら練習を積んでいる
のどちらかだと私は考えます。
今は大人になってからのバイオリン始める人へ向けての話なので①の弾き方の話をしましょう。
実はバイオリンの弾き方は色々なタイプがあります。
しかし大体のバイオリニストは先生から1つの奏法しか習いません。
理由は簡単でその先生も自分の先生に1つの奏法しか習っていないからです。
先生にならった弾き方が自分の身体に合ってなかったせいで身体を壊したり、上達せず才能がないと思いバイオリンを辞めてしまった人はたくさんいると思います。
川越バイオリン教室講師長又允希のレッスンではその心配がありません。
何故なら私自身色々な弾き方を研究するのが趣味で、ネットや本屋で買えるバイオリンの弾き方にまつわる本をほぼ全て買い集め本の数だけバイオリンの弾き方を試し、知っているからです。
普通バイオリンの弾き方は、自分の弾き方を教えますが私は違います。
生徒の身体にはどんな弾き方が合うのか、どんなタイプなのか、性別など様々な要素から1人1人にあった奏法を見つけ出します。
そんな私だからこそ「バイオリンは全ての楽器のなかで1番負担が少ない」という意見を持っています。
音楽で人生が豊かに
「音楽がある人生」と「音楽がない人生」だったらほとんどの人が「音楽がある人生」を選ぶんじゃないでしょうか。
「音楽ができたら楽しいだろうな」と思っている方は多いと思うので、ここではあえて音楽を習うと身体的にどんなメリットがあるのか紹介します。
正直なところこの分野の研究はまだなんとも言えない部分も多く、ある研究では音楽をやっている子どもの方が数学の成績がよかったという結論になっているのに、もう1方の研究では音楽と数学は関係なかったという研究があったりしています。
今回はそんな賛否両論ある中でも音楽の長期的レッスンでほぼ間違いなく効果がある。とされている3つの脳機能を紹介します。
脳機能×音楽
それは「読解力や言葉の運用能力」「情報を処理するワーキングメモリ」「IQ」 です(それぞれどんな能力かは今後のブログの更新をお待ち下さい)
何故音楽で様々な脳機能が高めることが出来るのでしょうか?
それは演奏することは身体以上に頭を使うからだと思います。
「まず楽譜の上の音符を見て、頭の中で音とリズムをイメージし、その音を出すにはどのように身体を動かさなくてはいけないのか考え、身体に指示を出し、音を出す。そしてイメージ通りの音が出たか耳で確認し、修正する。」
この作業を繰り返し行うことが演奏です。少し前まで演奏では「右脳」が大事と言われていましたが、最近の研究で「右脳と左脳」両方をつかっていることがわかりました。
演奏のことを「脳の筋トレ」と表現している科学者もいます。
脳の広範囲をつかう演奏をすることで様々な脳機能が高まることは不思議ではないのかもしれません。
音楽で耳が良くなる
ここでいう耳が良くなるというのは「音程がわかる」「音色の良し悪しがわかる」といった音楽的なことだけではありません。
長期的に音楽を学んだ子は、日本語にはない外国語の発音の違いや、話し相手の声色のちょっとした変化から普通の子に比べて感情の機微を感じ取ることが出来るという研究結果があります。
外国語の発音の違いを聴き取れるということは、外国語習得スピードアップにつながります。
また相手の気持ちを感じたりする共感力は「EQ」と呼ばれていて、最近ではIQ以上に成功する上で大切な能力とされています。
音楽で耳を育てることは、これからの時代を生きていく上で大切な力を育てることにもなります。
そのほかにも音楽家は音楽に限らず言葉や物音といった耳から入ってくる音の記憶力が優れていることも研究で分かっています。
私は大学2年生の頃から乗り物での移動中は、オーディオブックという本を読み上げてくれるアプリを聴いていました。昔から耳からの記憶が得意だなと思っていたのでこのアプリを知ってから毎日使っています。
大学の授業も録音して通学時に聴けば頭に入ったので単位には困りませんでした。
耳はとても大切な器官です。
耳が聞こえなくなると一気に脳が衰えることもわかっています。
音楽で耳を鍛えることができれば、人生がより豊かになること間違いありません。
最後に
ここまで色々と書かせていただきましたが、私が言いたいことは1つです。
楽器の演奏が出来るようになると間違いなく人生が楽しくなります。
バイオリンのメリットも書きましたが、人生を豊かにするという意味では正直バイオリンじゃなくても良いと思います。
私の記事を読み、少しでも音楽をやってみたいと思った方は歌、ギター、ピアノ、管楽器何でも良いので始めてみたらいかがでしょうか?
もしバイオリンをやってみたいという方は是非、川越バイオリン教室にご連絡ください。
長又允希